内山 信彦
マーシュ ブローカー ジャパン
アジアでは、複雑な建設プロジェクトの開発業者や請負業者は、遅延が発生した場合、その期間は当初の契約期間に比べて65%以上となり、争われる金額も一般的に建設プロジェクト総額の4分の1を超えるなど、財務面で多大な損失が発生するおそれがあります。1。
マーシュのデータによると、建設分野の保険金請求件数は年々増加傾向にあります。2023年の請求件数は2020年より14%多く、その大部分は財物損壊によるものです。
リスクエクスポージャーを特定・定量化し、どのリスクが付保可能かを見極めることは、建設プロジェクトの遅延に伴う不測の損害を回避するうえでなくてはならない最初の一歩です。
保険の適切な限度額と免責額の設定は、建設の遅延に伴う損失から保険契約者を守るだけでなく、開発業者・請負業者・下請業者間での責任の明確化を通じた問題解決にも役立ちます。
また、問題解決の明確な枠組みを提供することで、保険手配を介して利害関係者の間で信頼関係と協調性も高まります。
付保可能な建設リスクに備えたソリューションには、以下のものが含まれます。
損失発生前建設遅延レビューを行えば、付保できない建設リスクを特定・対処しやすくなります。
マーシュの経験豊富なリスクアドバイザーと建設業界のリスクを熟知したスペシャリストがレビューをすることで、建設プロジェクトチームは、コストの管理や緊急時対応計画の策定、建設プロジェクト日程の最適化に役立つ実用的な情報を得て、プロセスの合理化や効率性・生産性の向上を図ることができます。
複雑な建設プロジェクトの遅延には、さまざまな関係者が絡む複数の原因によるケースが少なくありません。そのため、保険会社の審査も慎重になりがちです。
同様に、工期延長(EOT)や予定損害賠償金などに関する契約上の請求も厳格に審査されます。
工期延長(EOT)クレームでは、徹底的かつ方法論的な分析により、遅延の原因と責任の所在を明らかにしなければなりません。一方、予定損害賠償金に関する請求を最善の結果に導くには、契約実務とフォレンジック会計の専門知識が必要となる場合があります。
マーシュは遅延による損失の軽減だけでなく、保険金請求にかかる時間とコストを最小限に抑えるための支援を提供しています。以下のケーススタディを通して詳しくご説明いたします。
完成までひと月足らずとなったラオスの水力発電所で、テストと試運転が完了する前に2基のタービンを分解して再設置しなければならず、遅れが生じました。
その結果、操業の開始が遅延し、開発業者に財務面で深刻な悪影響を及ぼしました。
開発業者は、遅延による収益減と工費増を操業開始遅延(DSU)保険で最大限埋め合わせるべく、マーシュと連携。建設リスクに精通したマーシュのスペシャリストは、以下の手順で損害額を決定し、てん補対象となるDSUの補償額を計算し、請求プロセスの効率化と損失回収の最大化を図りました。
幾度も交渉と見直しを重ねた結果、開発業者には、希望する金額の保険金が請求後11か月以内に支払われました。
1 Crux Insight Annual Report (2022), Battling the Headwinds: a regional analysis of claims and dispute causation. CRUX Insight Fifth Edition: Battling the Headwinds - HKA
マーシュの建設工事保険の専門チームは、建設工事保険のアドバイザーとリスクアドバイザーから成るチームで、経験豊富で優秀なエンジニアやフォレンジック会計士をはじめ、100名超のプロフェッショナル陣をアジア全体に配置しています。その力を結集して、お客様が進めるプロジェクトのニーズに沿った全方位型の専門サービスをお届けしています。
係争に伴う事業中断や調査コストを最小限に抑えながら、貴社が契約する保険の条件や請負契約全体の状況を踏まえて、保険金請求を良好な解決結果へへ導きます。
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