2020年以降に発生した事象では、アジアの多くの企業でBCPの不備が露呈しました。すでにBCPを備えている企業であっても、緊急事態宣言や蔓延防止法の発令、サプライチェーンの途絶により、多くの企業が事業復旧や競争力の維持に苦戦し、財務上および業務上の圧迫に対する耐性について疑問が投げかけられました。
2021年版マーシュ・レジリエンス・レポートに掲載した約1,000社を対象とした調査結果では、有事におけるビジネスリーダーの備えについての見解を読み取ることができます。例えば、組織内の意見の相違が露呈、ビジネスリーダーにとっての喫緊の課題、組織のリスク認識とリスク管理のミスマッチなどが浮き彫りになりました。
このようなリスク認識の隔たりは、既存のBCPを見直し、危機的な状況下でのリジリエンス(復元力)を向上させることにより解消することができます。一方で、BCPが不十分な企業が新たなリスクに直面し資本や評判の高い資産に影響を与える可能性がある場合、非常に脆弱な経営状態が続くことになるでしょう。
BCP:企業が不足しているもの
多くの企業が、事業運営、資産、収益源に対する即時および長期的な混乱への対応に苦慮しているのには理由があります。これらの企業は、緊急対応計画やインシデントに対する標準作業手順をBCPと混同している場合が多いのです。そのため、混乱に適応・回避し、混乱から学ぶための正しいプロセスを導入することができないのです。
その結果、BCPが不十分な企業は、パンデミックの際に不意を突かれ、その後の復旧が困難になっています。例えば、多くの企業が、リモートワークの拡大に伴い、ITシステムに対するユーザーの要求が大幅に増加したことに対処する準備ができていませんでした。一方、世界各地のサプライチェーンは依然として深刻な混乱に見舞われており、既存の計画が想定していた以上の影響が企業に及んでいます。
一方で、堅牢で包括的なBCPを導入している企業は、新たなリスクや予期せぬ課題に対応する体制が整備されています。このような企業は、危機から素早く回復することができ、堅牢で包括的なBCPを持たない企業より高い競争力を得ることができるでしょう。
堅牢な事業継続計画とは
業種や地域を問わず、効果的なBCPは、事業戦略に沿ったものでなければならず、以下の4つの目的の確認が求められます。
- 長期的な損失とコストの最小化
- 人材、物理的および電子資産の保護
- 重要なビジネス機能とサプライチェーン・プロセスの継続と復旧を優先
- 復旧期間の短縮
マーシュは、アジアの企業のレジリエンス戦略の向上を支援するなど、長年にわたるリスクマネジメンサービスの提供実績をもとに、今日の複雑で進化するリスク環境の中で、企業が事前に計画を立て、十分な情報に基づいた意思決定を行えるようサポートします。マーシュの実践的な事業継続計画ソリューションは、事業のリジリエンス(復元力)と危機管理計画、段階的な対策の改善、インシデント管理、およびインシデント後のレビューの分野における国際的なISO規格(ISO22301:2019)に沿って開発されています。
また、堅牢で復元力のある事業継続計画は、事業戦略との整合性を図り、あらゆる種類のリスクに適応し適用できるものでなければなりません。マーシュのリスクコンサルタントチームは、BCP見直しの実績とプロセス導入における経験値を活かし、業界、地域、リスクプロファイルに 応じて、ニーズに合ったソリューションをお客様に提供しています。
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