2. リコール保険マーケティング戦略
保険会社にもリスクの嗜好があり、リコールを積極的に引き受ける会社とそうでない会社があります。リコールリスクに強みを持つ保険会社を対象にマーケティングする事が好条件を得る為に必要です。
どの保険会社からどの様に保険を買うべきか?
ポイント①
カーメーカーのサプライヤー向け団体PL保険は、補償される対象製品や証券地域が限定されたりするなど多くの場合個別ニーズには適応出来ません。また、保険料はスケールメリットはあるものの、自社に事故が無くても全体の事故状況が悪化した場合、保険料が上がる事があります。
ポイント②
日系保険会社もリコール保険の引受を行っていますが、欧州系保険会社は過去よりリコール保険を積極的に引き受けており、高い競争力を有しています。
ポイント③
また、一定以上の高額(目安30億円以上)な支払い限度額を要する場合、ロンドンやシンガポール等の海外保険マーケットを含めてマーケティングを行い調達した方がトータル保険料コストを抑えられる可能性が高まります。
リコール保険の主な引受保険会社
国内保険マーケット : 日系+外資系
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- アリアンツ火災海上保険株式会社
- HDI Global保険会社
- チューリッヒ保険会社
- スイス・リー・インターナショナル・エスイー
海外保険マーケット : シンガポール+ロンドン
- XL Catlin
- QBE Insurance Group Limited
- Limit
- Tokio Marine kiln Group Limited
- Hiscox London Market
- MS Amlin
- Allied World
- Arch
- Argo Group
- Talbot Syndicate 1183
3. リコール保険の中長期的な戦略
グローバル企業はグローバルベースでリコールリスクを一元管理する必要があります。この解決策としてはグローバル保険プログラムが有効です。
リコール保険手配後の課題は何か?
ポイント①
本社で一旦リコール保険を手配した後、連結グループ全体で漏れなくリコールリスクを保険でリスクヘッジするためには、リコール保険をグローバルプログラム化させる必要が生じます。
ポイント②
グローバル保険プログラム(以下GP)とは、本社がグループ企業の代表契約者として、全世界のリスクを包括的に補償する保険契約を一括手配する手法です。GPの導入により購買力が増し、スケールメリットによる保険料削減、補償内容の最適化、リスク一元管理のメリットが得られます。
ポイント③
GPは、本邦にて本社が締結するマスター契約と海外現地法人が現地で締結する現地証券と組み合わせにより組成されるので海外ネットワークを持った保険会社と保険ブローカーの起用が必要になります。
ポイント④
さらに将来的にはキャプティブ保険会社(※)を使い積極的にリスクを自己保有することも検討の余地があります。 ※ キャプティブ保険会社とは、保険業を営んでいない企業・企業グループがその子会社として設立する、自社・自社グループのリスクのみを引き受ける保険会社です。詳しくは弊社HPをご参照下さい。