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サプライチェーンの多様化と分散:適切な保険手配によるリスクマネジメント

サプライチェーンの中断を企業の重要な戦略的優先事項に位置づける動きが急速に活発化しています。
Supply chain risks

貿易の分断が世界的に加速する中、サプライチェーンの中断は大きなリスクとなっています。

マーシュが公表したポリティカルリスク報告書によれば、地政学的な不安定化が進むなか、貿易協定 よりも経済安全保障を重視する国々の影響を受けて、世界規模での貿易の分断が加速しています。
この変化により、市場はより内向きになり、独立した自助的なものとなり、確立されてきた既存の貿易のネットワークとのつながりが希薄になっています。
最近の米国やEUによる関税の発表は、アジアの企業が成長の見通しや製造や運営の戦略をどのように描くかに、大きな影響を及ぼすとみられています。

パンデミック中にグローバルなサプライチェーンの脆弱性が明らかになり、その後の戦争や気候変動によって更に悪化の一途をたどっています。サプライチェーンの中断を企業の重要な戦略的優先事項に位置づける動きが急速に活発化しています。

 

日本企業を取り巻くサプライチェーンリスクの軽減に向けた課題

しかし、サプライチェーンの再構築と改善に向けた取り組みは、下記に示すいくつかの理由から複雑になり、多くの時間とコストを伴います。

  • .サプライチェーンの可視化が困難:多くの企業は、契約上の義務や手作業による調査を頼りに、上流のサプライチェーン・ネットワークの構成や状況を把握していますが、しばしばサプライヤーからの抵抗に直面します。
  • 複数のリスク要因を加味した包括的評価が複雑:多様化しつづけるリスクに対して、大規模なサプライヤー群を評価することは一筋縄ではいきません。リスク要因は、気象災害、サイバー攻撃、制裁・関税、サプライヤーおよび輸送ルートにおける財務パフォーマンスまで多岐にわたり、そのいずれもがサプライチェーンの信頼性に壊滅的な影響を与える恐れがあります。しかし、これらの与える包括的な影響を測定し定量化するための、リスクと業界の専門知識を有する企業は、ほんの一握りです。
  • サプライチェーンの多様化への対応:既存のサプライヤー群を多様化させるために新たなサプライヤー群を取り入れるには、膨大なデューデリジェンスの作業が必要になります。サプライチェーンの変化が加速する中で、整備した既存のデータセットの多くがすぐに古くなってしまいます。
  • 能力がある人材の確保への対応:新しい市場でバリューチェーンを再構築するためには、多様な労働コスト、専門的スキルをもった人材の確保、地域の規制の遵守に至るまで全てを考慮する必要があります。

 

サプライチェーンリスクを理解しマネジメントする実践的な方法

日本企業は、信頼できるリスクアドバイザーと連携して包括的なアプローチを構築することにより、下記のような方法でサプライチェーンリスクを軽減することができます。

  • バリューチェーンの上流・下流の両方を包括的に可視化:人工知能(AI)やビッグデータを扱うツールを活用すれば、サプライヤーをデジタル上でマッピングして、世界中のサプライチェーン情報をタイムリーに更新する環境が整います。これにより手作業で同様のことを実施するよりも必要な時間が削減されます。さらに、人工衛星やその他の技術と組み合わせて、位置情報や取引ルートを検証し、サプライチェーン全体のエコシステムを更に包括的に把握することを目指すこともできます。
  • 潜在的な脆弱性を特定:可視化による透明性の確保の次に、過度のサプライヤーの集中や、サプライチェーンのボトルネックといった構造的な問題を特定することが重要です。リスクの観点からは、全てのサプライヤーが同等に重要なわけではありません。時として、基幹部品を納入するものの小規模でリスク要因とならなさそうなサプライヤーが大規模で不均衡なサプライチェーンの分断の原因になり得ます。
  • サプライチェーンに影響を及ぼす主要リスクを洗い出す:日本企業は現在、自然災害、地政学的な制裁、サイバー攻撃、財務パフォーマンスなどの主要リスクに注目しています。更に、レピュテーションリスクを考慮するなかで、環境・社会・ガバナンス(ESG)関連のリスクや二酸化炭素の排出量スクリーニングも重要性が増しています。

 

リスク評価と優先順位付けが完了すれば、業務上のレジリエンス確保のための対策や関連施策を、重要な直接的および間接的なサプライヤーに対して広げることが可能です。

日本企業が取り組むべき対策:

  • ティア1のサプライヤーと連携して、ティア2以降のサプライヤーの脆弱性を評価するための詳細な調査を行う。
  • サプライチェーン内で最適な在庫水準を確保し、コストを最適化しながらバッファーを設ける。
  • サプライヤーと連携して緊急時対応計画を策定し、サプライチェーン内の複数の階層を一体化させる。

上記の取り組みは費用を伴いますが、レジリエンスを構築するための費用対効果の高いアプローチとして小規模の主要なサプライヤー群から着手することも効果的です。その場合でも、初期段階から投資収益率(ROI)を高めることを目標に定めます。
保険商品や資金調達手段を活用して、サプライチェーンに内在するリスクの一部をリスク転嫁する取り組みも有効な手段です。

たとえば、構外利益損害(CBI )保険やパラメトリック保険は有望な保険ソリューションです。
上記のリスク転嫁に向けた保険商品を手配するには、豊富な情報に基づいてサプライチェーンを徹底的に分析する必要があります。

 

 

リスクを機会や競争優位性に転換する

 アジアはグローバルな製造や貿易ネットワークに不可欠な地域であり、多国籍企業はESGや気候変動への適応などの課題にますます目を光らせています。同時に、アジアに拠点を置く製造メーカーは、顧客からサステナビリティの要件の遵守とサプライチェーンの多様化を強く求められています。

このような背景から、アジアで事業展開する日本企業は自社のサプライチェーンをリスクマネジメントする能力を強化し、潜在的な分断や損失を回避する必要性に迫られています。

日本企業はサプライチェーンの多様化に伴う課題を解決することで、アジア地域ならではのビジネスチャンスを活かし、透明性やレジリエンスが高く、持続可能なサプライチェーンを構築することが可能であり、競争優位性を確立しながら持続的な成長を成し遂げることができるでしょう。

AIテクノロジーを活用したサプライチェーンリスクのソリューションについて、マーシュの担当者までお気軽にお問い合わせください。