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保険を活用したリスクマネジメント実践のポイント Vol.5

リスクが及ぼす影響の正確な把握、事前対策を行うことの重要性と、そのリスクを保有するか、転嫁するのかなどの財務的な判断手法について紹介します。
Digital cyberspace with particles and Digital data network connections concept.

リスクマネジメントとリスクファイナンス

 

リスクマネジメントとは、リスクを組織的に管理(マネジメント)して、損失などの回避や軽減を図る経営管理手法のことです。企業価値の維持・増大のために、企業経営で障壁となるリスクと、そのリスクが及ぼす影響を正確に把握し、事前に対策を講じます。それによって危機発生を回避するとともに、たとえ危機が発生しても、その損失をできる限り小さくすることが可能になります。

 近年、企業の根幹を揺るがすようなリスクを管理することの重要性が高まっています。サプライチェーンは年々複雑化しており、外注先の業務停止によって自社に及ぶ影響が連鎖的に拡大していることに加え、サイバー攻撃による情報漏えいや事業の中断も懸念されています。

 このようにリスク環境が大きく変わる中で、従来から実施しているリスクマネジメント手法を見直す企業が増えています。また、保有・転嫁などのリスクファイナンスとの関係を改めて整理する重要性も高まっています。

リスクマネジメントは「リスクの洗出し」から始め、その後“リスク分析”を行い、洗い出されたリスクの特徴を理解します。 さらに、その特徴から企業のバランスシートに与える影響の大きさや頻度などを考えたうえで、リスク処理施策の検討を行います。“リスク分析”の結果の代表的なものにリスクマッピングがあり、リスクマネジメントに多く活用されています。

洗い出されたリスクに対して、企業は可能な限り自助努力を行い、リスクをコントロール(「回避」・「軽減」)します。コントロールできないリスクについては,「保有」・「転嫁」などのリスクファイナンスの手法を検討します。

リスクコントロールのうち「回避」は、例えば、ある商品の生産そのものを中止するなど、回避策を打つことです。リスクの「軽減」は、調達を複数のサプライヤーから行うなど、リスクを分散させておくことが肝要です。

 

 リスクファイナンスでは「リスクの保有」と「リスクの転嫁」という財務的な判断が求められます。

「リスクの保有」とは、企業が抱えているリスクを、自社が許容できる範囲で受け入れることです。事故等によって損失が発生したとしても、金額的に許容可能と判断できる場合や、現時点では経済合理性のあるリスク処理策が見当たらず、自社で保有することが適当と判断した場合に選ぶやり方です。

 たとえば、大量の車両を運行させているタクシー会社が、自動車の任意保険の手配を行わずに、自己資金で事故に対応することは「リスクの保有」の一種になります。

 リスクを保有するにあたっては,単にリスク対策を全く行わないということだけではなく、[TA1] 保険契約に免責金額を設定したり、キャプティブ(親会社のリスクを専属的に引受ける保険子会社)の設立など、リスクを保有するためのツールを活用したりすることもあります。

 一方、「リスクの転嫁」は、文字どおりリスクを社外へ「転嫁」する行為です。最も代表的なのは損害保険の付保ですが、業務を外部にアウトソースすることもこれに当たります。たとえば、自社が保有する顧客データを自社のサーバルームではなく専門のデータセンター事業会社に移設して、専門業者に監視してもらうことも「リスクの転嫁」になります。

 保険以外の「リスクの転嫁」の手段として、近年はデリバティブ・キャットボンドやILS(Insurance Linked Security=保険リスク証券)などの金融商品なども用いられています。

 

 なお、欧米では、各企業が自社で許容できるリスクの範囲や、上場企業では年間でどの程度までの損害であれば株価に影響与えずにすむかといった分析が、保険の設計に併せて保険仲介業者から提供されているケースが多いようです。

 

グローバルでリスクマネジメントの高度化を実践している企業様の事例は、以下をご覧ください。

PRESIDENT 2020年1月17日号掲載 広告記事
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