別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。

これより先は別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。
接続する場合は「別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続する」を、接続しないでこのメッセージを閉じる場合は「このページにとどまる」をクリックして下さい。

Skip to main content

自動車産業の拡大・多様化において考慮すべき5つのリスク:物的損害、契約、事業中断とサプライチェーン、第三者賠償責任、 人的資本

アジアの自動車関連企業はサプライチェーンの多様化に伴い、事業を中断させかねない複雑なリスクに直面しています。適切なソリューションを知り、ビジネスを守りましょう

アジアの自動車関連企業は事業を拡大し多様化するにつれ、相互に連関するグローバルリスクに直面し、事業が混乱する可能性があります。

米国と欧州連合(EU)が最近発動した関税は、欧米での潜在的な市場流通を制限することで、アジアの自動車産業に影響を及ぼしています。1関税に加えて、自動車メーカー、特に電気自動車(EV)メーカー間の厳しい競争は、タイやインドネシアを含む国々との戦略的提携から新工場に至るまで、東南アジアなどの代替市場への投資と多様化を促しています。2

建設と買収

買収によって生産能力を拡大することを選択した自動車関連企業にとって、トランザクショナル・リスクは保証・補償が必要となるリスクの一つです。新しい施設を建設する場合は、建設段階とオペレーション段階の両方のリスクを考慮しなければなりなせん。また、プロジェクトのライフサイクル全体に沿った効果的なリスクマネジメントには、関与するステークホルダー、その役割、潜在的な影響についての理解も必要です:

  • 請負業者、エンジニアリング、調達(C):新たな製造施設の建設や設営に関与します。例えば、電気自動車メーカーが新しい生産施設を建設する場合、建設会社、設備サプライヤー、エンジニアリング会社、専門コンサルタントを登用します。
  • オペレーター(O):サプライチェーンを含む製造施設の日常業務を監督・管理します。
  • 資金供給者(F):金融機関、プライベート・エクイティ、政府の優遇措置やプロジェクトに財政支援を提供する制度などを含みます。

建設中とオペレーションの両フェーズにおけるリスクの軽減

自動車ビジネスは、新しい施設の建設とオペレーションの段階で、次の5つの主要なリスクに直面します。
物理的リスク(火災、洪水、熱、地震など)、契約リスク、事業中断およびサプライチェーンリスク、第三者賠償責任、そして人的資本に関連する リスクです

2023年、アジアは世界で最も自然災害の多い地域となっており3 、異常気象は製造工場に多大な損害をもたらす可能性があります。2020年には、タイの自動車部品生産全体の約10%を占める20の自動車製造施設(4)が洪水によって中断されました。

建設段階における物的リスクについては、すべての利害関係者グループ(C、O、F)が、施設建設の進捗や将来の運営上の懸念事項に対する自然災害の影響を熟慮する必要があります。オーナーは、新しい施設の設計が地域の最低限の規制に準拠していることを確認するだけでなく、NFPAやFMグローバルなどのより厳格な国際規格も念頭に置かねばなりません。先進的なテクノロジーの場合、設計審査プロセスをリスクエンジニアリングと連携させ、設計が資産、環境、労働者、公衆に与える可能性のある危険を特定するとよいでしょう。これにより、施設設計に関連する潜在的なリスクと推定最大損失(EML)を評価し、オーナーが十分な情報に基づいた意思決定を行うことができるようになります。

さらに、十分な補償を確保するためには、リスク・アドバイザーが提供する物的リスクモデリングを活用し、リスクを正確に定量化する必要があります。 建設工事中に環境に汚染や損害を与える可能性は、一般に、施設の日常的なオペレーションと比較して高いと言えます。燃料が流出したり、大量の水が流出したりする可能性が高まるため、規制当局や第三者からの損害賠償請求や、洗浄要求を求められる可能性も高まります。請負業者汚染賠償責任保険は、流出や漏出、あるいは既存の土地汚染状況の悪化に起因した汚染に対する環境賠償責任に備えに有効でしょう。

オペレーション段階において、マーシュアジアの最新の物的損害および事業中断(PDBI)請求データは、 物的リスクに対する十分なプロテクションを得る必要性を裏付けています:2022 年から 2023 年までのわずか 1 年間で、アジアにおける PDBI クレーム件数は 18%増加し、業種に関係なく、各事業には固有の依存関係、事業モデル、そして地理的な立地や老朽化した公共インフラ/ユーティリティなどの特性があり、それらが物的損害や事業中断損失のリスクになりかねません。

 

自動車産業が急速な成長と技術的進歩を続ける中、生産工場の建設に乗り出す企業は、様々な契約上のリスクに直面しています。

それぞれのプロジェクトは特有のリスクがあり、納品方法によっては保険でカバーできるリスク、部分的に保険でカバーできるリスク、保険でカバーできないリスクなど、プロジェクトのライフサイクルを通じて慎重に評価しなければなりません。自動車会社にとって、こうした複雑な契約をいかに効率的に処理していくかは、プロジェクトを成功理かつ効率よく完了させるために最も重要な課題です。運用段階に移行する際にも、保険加入義務、リスク配分、補償条項が遵守されているかどうかを確認するため、企業は契約を継続して見直すべきです。

したがって、プロジェクト・ライフサイクル全体を通じて請負業者のリスクを管理するための効果的なテイラーメードのソリューションを提供できる経験豊富で専門的なリスクスペシャリストを活用することが必要です。

サプライチェーンの不確実性を考慮すると、すべてのステークホルダーのグループ(C、O、F)は、建設プロジェクトが操業開始遅延(DSU)保険によって十分にカバーされていることを確認すべきです。

自動車事業者は、オペレーショナル・リスク管理手法の一環として、事業継続計画(BCP)を策定し、BCPを定期的に実施・見直し(BIレビュー)することで、リスク事象発生時に不測の事態への対応プロセスを効果的に運用できるようにし、事業及びサプライチェーンの中断を軽減する必要があります。例えば、紅海危機は自動車産業に直接的な影響を及ぼし、テスラやボルボ・カー(5)は2024年に部品不足のため生産を一時停止せざるを得なくなりました。

事業中断イベント(停電、出荷遅延など)後の迅速な回復を確実にするため、自動車関連企業には経験豊富なクレームチームのサポートも必要です。マーシュのフォレンジック・アカウンティング、遅延アナリスト、クレームサービスチームは事業中断のレビューを実施し、損失を正確に定量化し、保険会社との保険金請求交渉を最適化するお手伝いをいたします。

さらに、マーシュのセントリスクは、サプライチェーンマッピング AI や地理空間衛星画像などの高度なテクノロジーを活用し、組織がサプライチェーンをより包括的にマッピングすることで、企業のビジネスニーズに即したリスク軽減、転嫁、リスクマネジメント戦略策定を支援します。

 

自動車メーカーは、建設段階とオペレーション段階の両方において、重大な第三者賠償責任リスクに直面しています。これらのリスクは、製造のさまざまな段階における一般的な第三者賠償責任からエンドユーザー賠償責任まで多岐にわたります。技術の発展や規制の進化により、企業が適切な保険によるプロテクションを確保することが難しくなってきています 。

第三者責任の問題は、しばしばオペレーション段階で発生します。所有者や運営者は、 第三者賠償責任保険や製造物賠償責任保険、リコール賠償責任保険といった形で適切な保険でカバー、法的責任や製品リコールに関連する費用が補償されるように備えなければなりません。 信頼できるリスク・アドバイザーや保険仲介業者の活用は、重大な補償ギャップを特定し、ホライズン・スキャン、危機の分析的定量化、製品リコール管理によって第三者賠償責任リスクを軽減する統合的アプローチの実践に有効です。

フィリピンでは、2024年ピープルリスク調査において、安全でない労働環境がリスクのトップ10に挙げられており、労働者の安全を確保する上で「基本を正す」必要があることを示しています。何よりもまず、請負業者や事業者は、建設段階で十分な損害保険、個人安全保険、傷害保険に加入し、安全規制を満たす補償限度額を設定しなければなりません。

さらに、新たな拠点に投資する際には、自動車産業にとって、給与の公平性、スキルの有効性、人材の流動性にわたって、適切な人材戦略を調整することも必要です。

マーサーのグローバル・タレント・トレンド調査によると、アジアの従業員の組織に対する信頼度は低下し続けており、2022年から2024年にかけて20%近く低下するとされています。10人に3人が今後1年以内に退職を考えており、アジアの雇用主は従業員の定着という課題に直面しています。自動車関連企業は、信頼回復と人材定着率を向上させるために、スキルアップとリスキリングの促進、給与の公平性の促進、包括的な予防医療給付の提供といった重要なアクションを検討すべきです。 

自動車産業の拡大と多角化の成功要因検討すべきチェックリスト

新規進出におけるリスクマネジメントは複雑になる場合があります。以下のチェックリストは、アジアの自動車関連企業が多角化し、海外に進出する際に対処しなければならない重要な検討事項の一例をまとめたものです。

マーシュアジア:アジアの自動車関連ビジネスの事業拡大を成功に導きます

マーシュアジアの自動車リスクマネジメントに対するデータドリブンなアプローチは、業界の深い専門知識、 エンジニアリング能力、建設リスクの専門性、そしてグローバルなリーチを融合させ、シームレスなソリューションを提供し ます。同時に、保険会社と交渉し、世界的な保険キャパシティの拡大、透明性の向上、自動車ビジネスのための革新的なソリューションの創出を目指します。

私たちにできること:ある日本の自動車用バッテリーメーカーは、タイトなスケジュールの中でプロジェクト・ファイナンスが必要となり、徹底したデューデリジェンスを実施し、銀行、法務、会計にまたがるステークホルダーを管理する専門知識を求めていました。マーシュアジアは保険デューデリジェンスを提供し、異なる地域(日本、中国、米国)の関係者間のコラボレーションを促進し、各種要求に迅速に対応しました。また、工場改修のための機械設備を補償するために、架設オールリスク保険を手配しました。その結果、このメーカーは、商業的現実に即した費用対効果の高い十分な保険カバーを確保しつつ、銀行が融資できるかどうかの判基準を無事にクリアし、所定の期間内にプロジェクト・ファイナンスを獲得することに成功しました。

貴社の事業拡大や多角化戦略の評価をご希望ですか?

今すぐマーシュの担当者にご相談ください。

1 Channel News Asia. (2024). China EV makers to pivot to emerging markets as US, EU hike tariffs. https://www.channelnewsasia.com/east-asia/china-ev-industry-byd-nio-us-eu-tariffs-emerging-markets-4459426

2 East Asia Forum. (2024). Asia ground zero in the revolution of electric vehicle markets. https://eastasiaforum.org/2024/03/19/asia-ground-zero-in-the-revolution-of-electric-vehicle-markets/ 

3 CNBC. (2024). Asia was most impacted by extreme weather and climate in 2023, UN report shows. https://www.cnbc.com/2024/04/26/asia-most-impacted-by-extreme-weather-and-climate-in-2023-wmo.html 

4 Supple Chain Digital. (2020). Thailand flooding impacts automobile supply chain https://supplychaindigital.com/logistics/thailand-flooding-impacts-automobile-supply-chain 

5 Reuters. (2024). Tesla, Volvo Car pause output as Red Sea shipping crisis deepens. https://www.reuters.com/business/autos-transportation/tesla-berlin-suspend-most-production-two-weeks-over-red-sea-supply-gap-2024-01-11/